現在親が管理している仏壇も、いずれ自分たちの代で管理する時期がやってきます。その際に分からないことが多すぎてどうしていいか分からず、相談を受けることが増えているのが実情です。今回は仏壇を引き継ぐ際の疑問について書いていきますね。
仏壇は長男が引き継ぐ?
結論を言うと、仏壇を長男が引き継ぐということに必ずしもこだわる必要はありません。
昔からの伝統で、『家は長男が引き継ぐもの』という風習がありますが、その流れで『仏壇もそのまま長男が引き継ぐ』というのが当然のように考えられてきたものと推測されます。
しかし現代では長男が早くに家を出て次男が引き継いだり、子供が女性ばかりで女性が家を継ぐというケースも珍しいことではありません。
長男が仏壇を引き継ぐ意思があるなら優先されることが多いですが、そうでない場合は誰がどういう形で仏壇を引き継いでいくのか、親、兄弟でしっかり話し合った上で決めるといいでしょう。
とはいえ特に60代以上の世代になると、昔からの伝統的な風習に強い拘りを持っている方も少なくありません。『長男だから継がなきゃダメ』というような、強い感じで親、義親から言われるケースもあると思います。
どうしても仏壇を継げない理由があるなら、それを正直に言って親、兄弟と話し合いをするしかないでしょう。
ご先祖様を祀るための仏壇で家族が喧嘩をしていては本末転倒、時には妥協して折り合いをつけなければいけないこともあるかと思います。そこは感情的になりすぎず、冷静に根気よく話し合いましょう。
仏壇を引き継ぐ際の注意点
仏壇を引き継ぐ際に気を付けなければいけないのは、特に仏壇を移動させる場合です。
まず仏壇が移動先の家に置けるのかを確認しておく必要があります。置ける場合なら仏壇はご自身で運んでもいいですし、厳しいようなら仏壇店等にお願いするのが無難です。
置けない場合は小さい仏壇に買い替えるか、仏壇が入る仏間にするためのリフォームが必要となりますが、この場合殆どの方が買い替えを選んでいます。
いざ仏壇を違う家に移動させる場合でも、勝手に移動することは出来ません。仏壇を移動する前に魂抜き、仏壇を移動後に魂入れという儀式をお坊さんにして頂く必要があります。
このように、『今ある仏壇をただ運ぶだけでいいや』と簡単にみていると、一筋縄ではいかないことがあるので、事前準備はしっかりしましょう。
仏壇を引き継ぐ人が居ない場合は?
残念ながら子供が居ない等の理由で引き継ぐことが出来ない場合、お寺に永代供養をお願いするのが一番安心できますね。
悲しいことですが、家庭環境により『先祖との縁を切りたいし仏壇、位牌を守っていくつもりも無い』という方も居ます。
どちらの場合も今ある仏壇は魂抜きをした後に仏壇屋等で処分の依頼をするのがスムーズです。
お寺にお世話になってる場合は、事情を説明しましょう。勝手に仏壇を処分してしまってはお寺さんもびっくりしてしまうかもしれません。
まとめ
長男だから、長男の嫁だからなんていう言葉に束縛されず、冷静に話し合って家族、親族と上手く接していけるようにしていきましょう。
譲れる部分、譲れない部分を明確にしておくといいと思います。
仏壇を引き継ぐことになったら
・仏壇を移動する場合、移動先の家に仏壇が入るかを確認する
(入らなかったら小さい仏壇に買い替えorリフォーム)
・魂抜き、魂入れを頼めるお寺があるかどうか。
(遠方に移動する場合は注意。お世話になっているお寺に来てもらえない可能性有り)
・仏壇を移動する場合は移動前に魂抜き、移動後に魂入れをお坊さんにお願いする。
少なくとも上記三点の確認は怠らないようにしてくださいね。
諸事情で仏壇を引き継げなくなったら、魂抜きをした上で仏壇屋等で処分依頼ということを覚えておいてください。
現代では昔の風習、やり方が合わない部分もあり、仏事以外でも変革が起こっているように思います。昔からの伝統のいい部分を残しつつ、人を悩ませるような悪しき風習は私達が変えていかないといけないのかもしれませんね。